華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
与えられる食事はのどを通らない。
窓を開ければそよそよと優しい風が体を包んでいたが、少女は何の反応も示さなかった。
そんな、生きているのかも分からないような時を過ごして3日目。
「…つれて、いくの?」
開けた窓から。ふわりと。
壊れ物を運ぶように、少女の体が浮かんだ。
「―――…、――…」
少女だけが聞こえる、風の言葉は。
ただ少しだけでその瞳に光を取り戻した。
「…あえ、るの……?」
あの、黒い影に包まれたような、冷たい、温かい人に?