華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
「君は、なんでここにいるの?」
「おうちからでてきたの。風さんがね、ここに連れてきてくれたんだよ。」
「風さん…?」
「うん。風さんはわたしを守ってくれるんだって。お母様がわたしを叩いたときも、窓をあけてれば助けてくれるの。」
誰にも言ったことのない話を、彼にする。
彼なら、きっと、何をしてもわたしを怒ったりしないから。
風さんのことは分かってはもらえなかったが、特に咎められることもなかった。
「あなたは、ここで何してるの?」
泣いているのかと思っていたが、話してみればそうでもない。
悲しげな雰囲気と、今にも泣きだしそうな不安定さは感じたけれど、少女にはそれが何なのか、何故なのか、どうすればいいのかなんてわからなかった。