華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
「あなたがいると、なんだか感じたこともない感じがするの。あなたは絶対にわたしを傷つけないし、叩かないし、怒らない。そう思うの。」
「……うん。」
「…わたし、もうおうちに帰りたくないよ。痛いのはいや。怖いのも、怒られるのも、閉じ込められるのも、いや…。」
―――わたしは、わたしは…
言葉にできない気持ちが溢れて、涙になる。
言いたいことが、口から出ない。
ずっとずっと求めていたものなのに。
彼ならきっと、そうしてくれるのに。
伝えたいのに、その言葉を、声に出せない。
その代わりに、どんどん涙が溢れてくる。
――――彼は、やっぱり。
「……僕が、華を守ってあげるよ。」
――――わたしはずっと、助けて、守って、と言いたかったの。
やっぱり彼の体温は、冷たいのに優しくて暖かい。