華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
楽しく3人で遊んでいた。
それはもう、華の短い人生のなかで最も光り輝いていた時間だ。
毎日が楽しくて、求めてやまない彼を待つと決めてから、こんなに楽しい日々を過ごせるなんて誰が予想できただろう。
それほどまでに、笑顔の耐えない日々だった。
だが、それも唐突に終わりを告げる。
少女が突然言ったのだ。
「……もうすぐ、迎えにきてくれる。」
それは、風の便りとも言えない、不確かな確信だった。
少年2人は不思議そうな顔をしていたが、その日以来3人で遊ぶことはなくなった。
少女は家で、授業中と食事などの生活場面以外では部屋に閉じこもっておとなしく、瞳を閉じてひたすらにその時を待っていた。
同じ家にいる結都でさえも顔を合わせることが困難になるほど、徹底していた。
楽しかった時が幻だったかのように。