華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
ーーー待ち合わせ場所が決まっているのか?
もちろん、そんな訳はない。
1年間全く会ってすらいないのだ。
だけど、少女の歩みに迷いなんてものはカケラもなかった。
ーーー向かった先は、公園。
彼と出会った、最初の、公園だ。
いつもは人がいるそこには、今日は誰一人いなかった。
砂場で遊ぶ子供も、木陰で話す親もいない。
ただ、いるのはーーーーー
「会いにきた、よ……」
「わたしも、会いたかった…。」
酷く悲しげな声で、かすれていた。
少女を引きつけてやまないその姿は、どこか儚げになっていた。
……だけれど、彼だ。