華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
「あなたのいない1年は、とてもとても永かった…。」
「は、な……?」
ベンチに座って、力なく俯いていた彼の頭が上がる。
「華…っ!!!!」
少しだけ潤んだその目は、大きく大きく見開かれた。
ああ、やっと、あなたに会えたーーーーー
何にも変え難い、どんな言葉にも表せないような幸福感と充実感が少女を包んだ。
色づいた世界では、彼がいないことは命を削られるような時間だったのだ。
一度色を持ったら、もう元には戻れない。
辛さも、悲しみも、感じないように必死で押さえつけていないと溢れ出しそうだった。
身が焦がれるほどに会いたかった彼が、いま、目の前に。
「……久しぶり、ですね。」
何を言ったらいいのかわからない。
ただただ、嬉しかったのだ。