華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
「あなたが、こうして私の所にきてくれる事だけを想って今日まで生きてきました。……もう、わたしを連れて行ってくれますか?」
きっと、きっと。
彼はわたしをもう離さないでいてくれる。
いや、わたしは、もう手放されたくないのだ。
彼のそばにいたい。
ただ、それだけで埋め尽くされている。
ぽっかりと空いていた真っ暗な穴が今はもうない。
彼の存在、その形がぴったりと当てはまったみたいに、埋まっている。
かれの目を見つめて、「うん」と言ってくれることだけを願った。
………でも。
「もう少し、待っていて欲しい………」
彼の言葉は、予想だにしない、酷なものだった。