華〜ハナ〜Ⅲ【完結】






「わたしは、明日…迎えてきてくれるの。ここを出て行くことは出来ない…。」


「明日、迎え?…おい、何の話だ。」



男は、二重契約になっているのかと疑う。


それほど面倒なことはない。


そんな事ならばこの場で子供の両親を殺して金を取り戻さなければ。



しかし。


「二重契約はあり得ません。あらかた、接触のあった少年との口約束でしょう。」



上野が言う。接触のあった少年とはレンのことだろうか。




「子供の口約束か。……悪いが嬢ちゃん、諦めてもらう。」


「嫌!」


「おい、黙らせて連れて行くぞ。」


「嫌だぁあああ!!!」



少女は、触れられたことにも不快感を覚え、泣きながら叫ぶ。


結都は静かに抵抗していた。



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