華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
小さな子供が抵抗してもたかが知れている。
二人はそれぞれ男に担ぎ上げられてしまった。
「うるさいが、弱いな。」
「二人とも体力は平均以下です。」
「アルビノだからか?」
「確証はありませんが、おそらく。」
普段、暴力をふるわれるのはまだ良い。
けれど、明日こそ、という今日に限って家から連れ出されるなんてことは、少女には耐えられなかった。
「嫌!降ろして!」
「…うるせえ。」
担がれた状態で、結都を担いでいる方の男に頭を殴られる。
母親のそれとは強さのわけが違う。
脳がぐらぐらと揺れた。
「いや……。いやよ……、」
弱弱しく、担いでいる男にも聞こえるかわからないくらいの小さな声で呟く。
少女の顔は涙で濡れている。
「たす、けて……、」
聞こえないのは分かっている。
けれど、少女は彼を求めて呟いた。