華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
家から出た瞬間。
ビュオオオオオオオオオオ!
突風が吹き荒れていた。
「な、なんだ!?」
「うお!」
葉っぱだけでなく小石や枝も風に乗って飛んでいた。
それらはまっすぐに少女を担いでいる男に向けて飛んできた。
「ッつ…!」
肌が見えている部分、つまり顔に向かって一直線だった。
容赦なく目にも飛んでくる。
男は最初こそ避けたものの、次以降は避けられなかった。
「な、なんだよ!この風は!」
「ぐ、……」
目に石や枝が飛んできた男はその場にうずくまる。
怪我を押さえる手の隙間からは血が見えた。
男がうずくまったことで、少女は身をよじるだけで降りることができた。