華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
「華ちゃんっ…!」
「………。」
上野と、もう一人の男も結局は立っていられなくなり、その場に倒れた。
そして駆け寄ってくる結都に対して少女はちらりと視線を向けた。
「…華ちゃんが、やったの?」
「…風さんはわたしを守ってくれるの。」
瞳を抉られ、肌が赤く染まっている三人はもう長くはもたないのだろう。
風は、その手が何もできなくとも物を動かすことができる。
それだけで常人には致命傷を与えることができる。
―――少女は、この時それを学んだ。
風と意思の疎通ができるのは少女だけだった。
風が意思をもって従い、守護しようとするのも、少女だけだった。