華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
気が付けば家にいた。
「お母さん、俺も手伝う!」
「まあ、ありがとう。じゃあ、このお皿をテーブルに運んでくれるかな?」
「うん!」
母親は家にいて、穏やかに笑っている。
これは多分、俺が3歳半くらいか…。
さっき見たのより、少し大きくなっている。
「結都は偉いな。」
「お父さんのコップも持ってきたよ!」
「ありがとう。」
明るく笑っている幼い俺は、何も知らない。
母親に死期が迫っていることも、父親がそれを知っていることも、父親には、大きな秘密があることも。