華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
蓮士side
―――――…ん?
ふと、辺りを見渡してみる。
俺と楓しかいない幹部室はとても静かだ。
「どうかした、蓮?」
「………いや、なんでもない。」
なんとなく。
なんとなくだけど、侑希の声がした気がした。
まぁそんなわけはねえんだけど。
あいつは間違いなく俺が家まで送り届けた。
嘉は早々に家に帰ってしまい、結都も「眠たい」と行って帰ってしまった。
李玖もなんだかんだ言って家族と仲が良くて、しょっちゅう帰る。
……でも結都も李玖も、暴走の日に家に帰るのは珍しい。
いつもは興奮が冷めねえとか言って泊まるのに。
楓も、いまはもう眠そうだ。
……柚も連れてきて、寝るか。
俺は下の階で遊んでいた柚を部屋に連れてきて、ベッドに潜り込んだ。
隣では楓がスースーと寝息を立てていた。