華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
「……お城?」
「はは、そう、見えるか?」
1週間もしないうちに連れてこられたのは、大きな城…のような、家。
「ここ、なに…?」
「お父さんのもう一つの家だよ。」
細められた目からは何の感情も読み取れない。
「別の、お母さんがいるの?」
「どうしてそれをっ!?」
俺が聞いていたことなんて知らない父親はとても驚いていた。
そして、気づいたらしい。
「…聞いて、いたんだな…」
「うん…。ごめんなさい…。」
「いや、謝ることじゃない。お父さんが悪いんだよ。」
父親の手をしっかりと握って、その家へと足を踏み入れた。