華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
ふと、視線を感じてそちらに目を向けると。
――真っ赤な瞳がこちらを見ていた。
ビックリして、負けじと俺も見返していた。
「上野!上野!!」
「はい。」
「それを早く連れて行って!見たくもないわ!!」
上野、という女の人が俺の腕を掴んで歩き出す。
腕をつかむ手に遠慮はなく、歩く速さも普通以上だ。
ついて行くのもやっとなくらい。
「……。」
背筋が凍るほど冷たい目で見られ、俺は固まる。
あの、真っ赤な目がのぞいていた部屋に乱暴に投げ入れられた。