華〜ハナ〜Ⅲ【完結】




ふと、視線を感じてそちらに目を向けると。






――真っ赤な瞳がこちらを見ていた。



ビックリして、負けじと俺も見返していた。





「上野!上野!!」

「はい。」

「それを早く連れて行って!見たくもないわ!!」




上野、という女の人が俺の腕を掴んで歩き出す。


腕をつかむ手に遠慮はなく、歩く速さも普通以上だ。


ついて行くのもやっとなくらい。





「……。」




背筋が凍るほど冷たい目で見られ、俺は固まる。



あの、真っ赤な目がのぞいていた部屋に乱暴に投げ入れられた。




< 193 / 278 >

この作品をシェア

pagetop