華〜ハナ〜Ⅲ【完結】



――――…


「兄ちゃん!」

「どうした、レンジ?」




幼い男の子が走っていく。


その先には兄ちゃんと呼ばれた少年。

少年、というには少し大人びているかもしれないが。




「父ちゃんと母ちゃん、またケンカしてんだ…。」

「そうか。だからここに来たのか?」

「うん。」



幼い男の子――レンジという名前らしい――がいるのは、小さな公園。


兄である少年は柔らかい笑みを作って男の子の頭を撫でた。




「ここにいていいさ。」

「うん。――ちゃん、来てないか?」

「そういえば今日は来てないな…。まあ、こんな日もあるさ。」

「……そうだよな。」




< 20 / 278 >

この作品をシェア

pagetop