華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
――――…
「兄ちゃん!」
「どうした、レンジ?」
幼い男の子が走っていく。
その先には兄ちゃんと呼ばれた少年。
少年、というには少し大人びているかもしれないが。
「父ちゃんと母ちゃん、またケンカしてんだ…。」
「そうか。だからここに来たのか?」
「うん。」
幼い男の子――レンジという名前らしい――がいるのは、小さな公園。
兄である少年は柔らかい笑みを作って男の子の頭を撫でた。
「ここにいていいさ。」
「うん。――ちゃん、来てないか?」
「そういえば今日は来てないな…。まあ、こんな日もあるさ。」
「……そうだよな。」