華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
でも、ある日を境にその暖かい生活は消えた。
気が付けば見知らぬアパートにいて、狭くて暗くて鬱々とした空間にいた。
両親は急に俺に冷たくなり、泣いても笑ってもうっとおしそうに目を背ける。
俺の相手をしてくれるのは、いつも兄貴だ。
「レンジを連れてどこかに行って!!!!!」
母親の甲高い声に驚いて俺がまた甲高い泣き声をあげれば、優しい腕が家の外に連れ出してくれた。
連れ出された先はいつも同じ公園で、一緒にブランコに乗ったり砂場で遊んだりしていた。
兄貴はいつも薄く笑っていて、なぜか、どこか悲しそうに見えた。