華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
少年の膝にのり、男の子はブランコで遊んでいた。
それから不意に、揺れが止まる。
「兄ちゃん?」
「…………なあ、レンジ。」
「何?」
少年は男の子をしっかりと見据えている。
二人の顔立ちはあまり似ていないが、その目はよく似ており、意志の強さが現れていた。
「父さんと母さんがいなくなったら、寂しいか?」
「え、いなくなるのか?」
「いや…いなくならないけどな。もし、いなくなったら、だ。」
「……寂しい、けど。」
「けど?」
「兄ちゃんがいれば寂しくないかもしれない。」
その表情から、男の子がどれだけ兄を信頼し、尊敬しているかがうかがえる。
「………そっか。」
そう言った少年の顔は、ちょうど影に隠れて見えなかった。
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