華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
ーーーもう終わりだ、そう思ったのに、俺は死んでいなかった。
痛くもないし、何も感じない。
包丁が刺さるであろう寸前に閉じていた目を開けると、戸惑った表情の兄がいた。
おろおろと、今度は必死な表情で。
不安げだった。
今度は何をされるのかと強くなって見ていると、何か強い意志を持った目で睨みつけられた。
そのまま目の前に兄の手がかざされ…
「蓮士のことは殺さないから、僕を見て…」
言われるがままに兄の目を見ると、プツンと糸が切れたように視界がブラックアウトした。
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