華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
……はて。
私のことも、誰かが待っていてくれたような気がする。
「わたしは、いつでもここに居るわ。」
すい、と重力を感じない動きで子供が近づいてきた。
「あなたはもう、わたしを取り戻した。すべて思い出せるはずよ。あの人もきっと、目を覚ますのを待ち望んでいる。」
「あの人…?」
あの人、とは。誰だ、ろう…
「…いた、い」
この、頭を強く打ちつけるような感覚は痛みだ。
痛い。
頭が割れそうだ。
「自分の姿を見てみなさい。……わたしはあなたで、あなたはわたしよ。ほら、同じ……。」
子供の姿が消えるように薄くなっていく。
「痛い、あたまが、痛い……」
「後は、会いたい、と願うだけよ。それだけでわたしたちはあの人の元へ帰ることができる…。さあ、早く…強く願って。」
子供の姿は消え、声だけが木霊する。
ガンガンと痛む頭を抱え込み、一人うずくまった。