華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
目覚めた月
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「…、ん…」
「華っ!!!!!!!」
重くてしょうがない瞼を、無理やりに持ち上げる。
真っ先に飛び込んできた声は私が求めてやまないそれだった。
「ま、すた…」
「華…、起きたんだね。」
ここは、何処だろう。
あの塔じゃない。私の部屋でもない。
ここは……
「侑希ちゃん……」
………?ユキ?
「あなた達、一体なんなんですか…」
この声は聞いたことがある。
誰だっただろう。
視線を向けようにも、私の視界にはいっぱいにマスターがいる。
今にも泣き出しそうな表情をしているこの人から、視線を外すことなんかできなかった。
「…帰ろう、僕らの場所へ。やっと帰ってきたんだ、華が…」
小さく小さく、私だけに聴こえる声で話す。
私もそれに小さく小さく頷いた。
この人は、私が愛するただ一人の人だ。