華〜ハナ〜Ⅲ【完結】





「……私の話はこれで終わりよ。知られた以上、本当は貴方達を殺さなきゃならない…。」








その言葉に、ビクッと体がこわばる。



殺される?俺たちが?

ーーーーー俺、が?









「……だけど殺さないわ。これは私の判断。誰にも話さず、この話を人に広めるようなら判断を覆さなきゃならないかも知れないけれど。きっと蓮士と結都が止めるでしょう。」



「………。」



「私が2人の喜びも悲しみも理解したように、2人も私の絶望を知ったはずよ。そう簡単に、あの絶望を受け止められるはずがない…。」






彼女は忌々しげに、ベッドに眠る二人を見た。






「……2人が起きてしまう前に私はここを去るわ。だけど最後に、楓。貴方にも話さなきゃならないことがある。」




「俺…?」









なんだろう。



さっき話していたように……嘉や李玖に関わっていたように、俺にも何か関わったことがあったんだろうか。










「……楓も私の関わりは、随分と昔に遡るわ。きっと貴方も覚えている。」
















そうして話し始めたその内容は、俺が聞きたい話ではなかった。













「…私がまだ月華として完成して間もない頃。痛みも感じず、感情が死んでしまっていた、頃よ…


















***













私はマスターだけのために行動していたけれど、組織が大きくなるにつれて、有能な人間との関わりを持つようになってしまった。




私が接触していたのは、マスターと、乃亞、そして、禍后という男の3人だった。



マスターは私の絶対的な存在として君臨していた。


そして乃亞はその容姿や実力にも関わらず、なぜだか私に対しては母親のような態度だった。禍后は、同じく父親のようだった。













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