華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
真実を、いま
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華が言葉を残して去っていった後。
「ああああああ!!」
楓の悲しい慟哭が城中に響いていた。
「また!侑希にまで!裏切られたんだ!」
「楓!」
壁を殴りつけながら泣いている楓を、嘉が必死に止めようとする。
だが、それを振り切って楓は泣き叫んでいた。
「許さない!侑希…絶対に!」
拳には血が滲み、手のひらには爪が食い込んでそちらも出血していた。
憎しみに染まった楓のその表情は、嘉がそれまでに見たことのないものだった。
憎しみを滲ませながらも、悲しみに打ちひしがれている楓を、嘉はどうしてやることもできなかった。