華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
「お前らの期待を裏切る話になるかもしれねえ。…俺は、ダメな人間だからな。」
思わず自嘲気味に笑ってしまう。
姫を守ると言ったのは、ついこの間、この場所でのことだったのに。
自分に寄せられている期待の大きさを知っているだけに、それを踏みにじるような形になるのが怖かった。
「俺は、侑希を守れなかった。あいつは俺らじゃない道を選んだんだ。引き止めたけど、無理だった――。惚れた女一人守れねえふがいない総長で、悪い。」
幹部5人並んで、階段の踊り場にいるこの状況。
声が広がりやすいようにここにいるが、上から見下ろすこの形が蓮士は嫌いだ。
だけど、勢いよく下げた頭を、全員がみる状況でもある。
全員が、俺への期待を消し去ってくれればいいとすら、思った。