華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
華は笑った。
その紅い瞳は、自分に跨る男だけを見つめている。
男もまた、愛に満ちた笑みを見せた。
「わかったよ…」
全身の力を抜いた華のその喉元に、手を添えた。
「華……」
「マスター…」
「最期くらい、名前で読んで欲しいんだけど」
男の笑みには、一点の曇りもない。
……男はまさに、最愛の人の息の根を止めようとしている。
組み敷かれた華の笑顔にも、幸せ以外の感情はなかった。
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