華〜ハナ〜Ⅲ【完結】




カツカツと部屋へと歩いていれば。






「…………誰だ?」



誰かが私の後を付けている。




「ああ、やっぱり見つかってしまいましたか。やはり素晴らしいですね、姫は。」

「………お前、誰だ?」



見たことがない。



燕尾服を着た、白髪の老人。

左目には黒い眼帯。

顔はシワが深く刻まれていて、一見したらただの優しそうなおじいさんだ。


……けれど“ここ”にいるということは普通の人間じゃないってことだ。





「わたくしは、ジェフ・アリノアと申します。以後、お見知りおきを。」




彫りの深いその顔立ちは、日本人もしくはアジア圈の人種じゃないことをその名前と共に十分に表している。




「何のためにここへ着た?ここはマスターの許可がない者は入れないはずだ。」

「わたくしはマイマスターの命令でこちらへ参りました。姫の様子を伺って来るように、とのことですよ。」



マスター?

マスターの命令で、私の様子を見てこいと?




「何のために…」


そんなこと。

直接、会いたいのに…。




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