華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
「何のために、など。そんなことは解りませんね。彼の考えていることを、私たちが知る必要がありますか?答えはノーでしょう。」
それは…確かにそうだ。
でも、どこか腑に落ちない。
今までは、マスターが自分で来ていたんじゃないの?
「何か伝えておくことはありますか。」
「…何も変わりはない。」
「そう、お伝えしましょう。」
それだけ言うとアリノアは暗さに紛れていなくなった。
気配は完全に消えたから、もういない。
………マスター、会いたい。
ぎゅっと目を固く閉じ、頭に浮かんだ煩悩を消した。