華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
「聞かなくても分かるでしょ?」
「…はい。」
「だから俺のことは調べても無駄だよ。」
「…っ!」
「何か勘繰ったみたいだけど、会社が大きくなるとあんまり個人情報は晒したくないからね。だから隠してるだけだよ。」
「…そう、ですか。」
パチパチと見えない火花が散るような二人の間。
居心地は、すこぶる悪い。
「未也美さん、中に戻りますか?」
「あ、ハイ…。そうします…。」
いま、マスターと一緒にはいられない。
“どうして”その思いばかりが私を埋め尽くしてしまう。