華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
「あいつも喜んでるさ。死んでも月華を護れるんだ。」
「……私にそんな価値はないわ。」
「そう言うなよ。」
ああ、頭が痛い…
他人の優しさは、もともとこんなふうに私には痛すぎるものだ……
「ああ、お迎えが来てしまった。」
「迎え……?」
「思ったより話し込んでいたようだな。待ちきれなかった彼らが出て来たぞ。」
蓮士…。
私と目が合った蓮士は、顔をしかめた。
よく、こんな距離で私の表情が見えるわね。
そんなに酷い顔をしているのかしら…。
「あいつら、呼ぶぞ。私は帰る。」
「乃亞、」
「謝罪はいらん。できれば礼がほしいな。」
「……どこ。」
「うん?」
「どこの情報屋に喋ったの。」
「それは言わない。お前、自分から行きそうだからな。……それじゃ私が隠した意味がない。よく考えて行動しろよ。」
そう言って乃亞は蓮士たちを呼んだ。