華〜ハナ〜Ⅲ【完結】





それから何日か後にあった夏休み暴走は、警察や見物人が多くて以前とはかなり違うものだった。






バイクに乗っているみんなは黒い布で目より下を隠して顔が見られないようにしてある。


道路のわきには人、人、人。


瞬くケータイのフラッシュが眩しい。


バイクの騒音にもかかわらずメンバーにかける黄色い声が聞こえる。


遠くのほうからは走り始めてすぐにパトカーのサイレンが聞こえて。



…私は反射的に空に飛ぼうと考えてしまった。



でもすぐに今のこの状況を思い出す。



…彼らの前で空に飛び上がるなんて自殺行為だわ。





私を後ろに乗せて運転しているのは蓮士で、何か言ってからバイクのスピードが上がった。


多分「パトカー撒くぞ」とか言ったんだと思うけれど。




暴走ルートからどんどんはずれ、細い道に入っていく。


でも気がついたら城の近くに来ていた。






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