華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
私の服はいつも黒だった。
黒い、シフォンワンピースがマスターのお気に入り。
「あの人、ロリコンか?」
「…ぶっ!お前、そんなこと言ったら殺されるぞ!?」
「乃亞だって笑ってんじゃねぇか。」
――ロリコンじゃないとは思うけれど。
「月華を大事にしてくれんのかね〜?」
「………。」
大事にしてもらいたいなんて期待してない。
ただ、私はあの人の側に居られればいい。
彼だけが私の存在意義であり、私の命をつなぎ止めるものだ。
「月華はまだ子供なのにな…」
禍后の顔が歪む。
――彼は自分の仕事を毛嫌いしていた。
――人を殺すことを、人を殺す自分を、嫌っていた。