華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
嘉は、確かに今は話しが出来るような状態じゃなかった。
パリンッ…
「嘉っ!?」
「血ぃ出てんぞ…。」
「………。」
……嘉にコップを握り潰す力があるなんて驚いた。
「救急セット持ってこい。」
「…蓮、いらないから。」
「血ぃ出てんだぞ?お前、まずは落ちつけ。」
ドクドクと、嘉の手から血が流れてる。
手首の血管にもたぶんガラスが触れたのね。
だから止まらない。
「……赤い、ね。」
「嘉……?」
「侑希ちゃん……。」
おかしい。
嘉の目が、すべてを諦めたような、悲しい色に染まっている。