華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
「着いたぞ!」
「…ええ。」
すごいわね。
この辺の地理がすべて頭に入ってないとこんな風に適当に走ってここにたどり着くのは不可能だろう。
「俺たちが最初か?」
城の中はシン、と静まり返っていて誰もいないらしく。
電気をつけてみてもやっぱり誰もいなかった。
「今日は全員出てたからな~久しぶりにここが暗いの見た。」
興奮冷めやらぬ、というように蓮士が笑って見せる。
こんなふうに笑っている顔を見ることが最近増えた気がする。
…私が気付けるようになったのかしら?
「侑希?」
蓮士に呼ばれ、いつもの幹部室に入った。