華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
歩きながらも嘉の瞳は私をじ、と見つめてくる。
あんまり見つめられると居心地が悪いんだけど…。
でも、そんなことが言える雰囲気じゃない。
仕方ない、か。
「嘉ばっかりずるい!俺も侑希と手ぇ繋ぐし!」
「え?……うわっ」
左手は楓と繋がった。
…なんだか小さい子をお守りしてるみたいね、この状況。
「……はぁ。中、入れよ。」
「はーい。」
「………。」
私の目を見つめたまま部屋に入る嘉。
……なんだか、見つめ返さないわけにはいかない感じ。