華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
パタン、とドアが閉まる。
依然私たちの手は繋がったまま。
「ごめんね、お願い聞いてもらっちゃって。」
「いいのよ、謝らないで。」
私だって話しがしたかったから。
くるりと嘉のほうに目を向けると、切なそうに眉を寄せているのが見えた。
「……どうしてそんな顔をするの?」
「……侑希ちゃんってホントよく表情に気付くよね…」
弱い力で繋がった手を引かれ、部屋のイスに座る。
嘉は、繋いでいないほうの手で私の頬を包んだ。
「………似てるんだ。」
誰に、とは聞かなくても嘉の表情を見れば分かった。
見たことある顔。
泣きそうな、苦しそうな、切なそうな顔。
「………。」
嘉は私を通して彼女を見ているのね。