華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
「そう警戒しないでよ。わたし、無力ですから。」
「……嘉です。」
「嘉ね、どうしてここに一人で?」
「貴女こそ。」
一人なのは彼女も同じ。
夜の海辺の公園に一人。
俺みたいな人間だったらありがちだけど、未也美さんの出で立ちはたった今まで人といました、って言われても不思議じゃなかった。
「わたしは……なんとなくですよ。」
ふわりと笑う未也美さんの顔を見て、きっとこの人は俺と同じ側の人間だろうな、って思った。