華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
俺は、こんな人は放っておいて落ち着いて連絡を待てる場所に移動しようと思った。
………なのに。
「嘉、どこに行くんですか?」
「………。」
「待って〜!」
スタスタ歩けば小走りでついて来る彼女。
「……なんなんだよ、アンタ。」
「わたし、一人なの。」
「………。」
会話にならない。
だからなんだ、って聞いてるのに。
「嘉の時間が許すだけで構わないから、一緒にいてくれない?」
「……何、言ってるんですか。」
あいにくそんな暇はない、と言おうとしたけれどそんなこともない。
どうせいつ連絡が来るかわからないんだ。
もしも、万が一。
警察に事情聴取でもされていようものなら夜中に連絡が来る保証はない。
そこまで考慮して、仕方なく俺は首を縦に振った。