So Alive
私は若菜の肩に手を置いてこちら側に手繰り寄せた

若菜の匂いとあたたかさで気がおかしくなりそうだった

私は若菜の顔をジッと見ていた

彼女もまた私を見ていた

私は彼女の頬を両手で触りお互いの顔を近付けた

唇に触るか触らないかという感覚だった

唇を重ね、私は若菜を抱き締めた

若菜もまた私を抱き締めた

飛んでいるような気分だった

誰かに伝えたい気持ちでもあった

お互い恥ずかしそうに下を向くとしばらく沈黙が続いた

重い口を私が開いた

「ありがとな…」

若菜は顔をずっと下に向けていた

その日の夜の出来事は私にとって一歩大人になった感じがした夜だった

雪は降っていないが厳しい寒さの中二人は同じ布団で同じ夜を過ごした

彼女の寝顔に救われた日でもあった

< 57 / 130 >

この作品をシェア

pagetop