乱華Ⅰ【完】
手を離した宮地から、踵を返して大人しく教室に入ろうとした私だけど…
「…なんなんですか」
視線がウザい。
「いや、べつにー」
へらへら笑いながら、ジロジロと私を見る宮地に心底うんざりした。
なんなんだよ。
マジで。
馴れ馴れしさと、そのわざとらしい話し方がカンに障る。
黒髪オールバックをぐしゃぐしゃにしてやろうか…?
一瞬浮かんだ幼稚な行動はやめておいた。
いきなり目の前の担任が、へらへらから真面目な表情になったから。
私達の間を冷たい風が吹き抜ける。
さわさわと枯れ葉が舞い上がったのが視界の端に映った。
教室からギャーギャー騒ぐ声が聞こえた気がしたけど、タクが何かしたに違いない。
口を引き結び、目の前の担任を見据える。
一体何を言うのだろうか…
「居場所は見つかったか?」
「…………。」