乱華Ⅰ【完】
〜side.宮地〜
「佐伯、早く気付けよ」
佐伯と安芸の後ろ姿を見て呟く。
俺ももう年だな。
1人言言うなんて。
再び廊下を歩きながら思いを馳せる。
アイツを見たのはいつぶりか…
あの日見た佐伯と、昔の佐伯が違いすぎて一瞬わからなかった。
暗い、暗い瞳。
キツめの派手な化粧に
ハニーブラウンの明るい髪。
「…――さん」
ポツリ呟いた俺の声はチャイムにかき消された。
ちゃんと、本来の姿に戻します。
教師の俺が直接は関われねぇけど、アイツらなら大丈夫。
俺が手助けする。
―だから
安心してください。
あの人も心配してます、と。