乱華Ⅰ【完】
ninth
「香月忠志」
11月頭。
いつもの様に倉庫に連行された私は正宗にその名を告げられた。
いつものソファーに座り、オレンジジュースを差し出してくれた正宗にありがとう呟く。
「…香月、忠志?」
その名を反復して、首を傾げる。
「この前の男だ」
それってこの前の、捕まってた奴の事だよね…?
珍しくデスクではなく私の隣に座った颯人は、ジッと私を見る。
その目は知ってるか?問いかけてくるから
「知らない」
目を見て答えた。
「そうか…」
「…うん」
ポスン、頭を撫でた颯人は席を立ち「修、司」2人を呼んだ。
「じゃぁオメェはちょーっと今から付いて来い」
「…はい?」
修に腕を引っ張られ、無理矢理ソファーから立ち上がらされた私はそのままドアに。
その後ろを司が着いてくる。
て、ゆーか
今座ったばっかりなんですけど!!
今、ジュース飲もうとしたんですけど!?
ぐいぐい引っ張られてドアはパタン、静かに閉まった。