乱華Ⅰ【完】
〜side.正宗〜
「どうだ?」
心ちゃんが部屋を出た後、颯人に問い掛ければ
「多分、知らねぇな」
デスクにドッカリ座った颯人はカチッタバコに火を点けた。
この前の男。
香月忠志。
陽炎の中堅。
アイツがあの中では一番上だった。
ベラベラ喋ってた割には肝心な事は割らなかった奴。
利用価値のある女。
何に、利用するんだ。
あの言葉が気になりすぎる。
カチリカチリ携帯を弄って、パソコンから転送した香月忠志の情報を引き出す。
誕生日に血液型。
出身地に住所に家族構成。
…へぇ、コイツも妹と弟がいるんだな。
フッ笑ってもう一台の携帯に視線を向ける。
「なぁ」
「…あ?」