乱華Ⅰ【完】


「…宮地」


「あ?」



颯人が灰皿にタバコを押し付けて立ち上がる。



携帯を俺に押し返した颯人は



「アイツが一枚噛んでる」



確信してんのか、真っ直ぐに俺を見据えた。



「…宮地ぃ?」


「あぁ」



素っ頓狂な声が出たのは颯人から出た名前が意外だったからだ。
担任の宮地。俺らの先代だろ、アイツ…



元族が教師なんて、世も末だろーに。



「じゃぁ、乱華の…?」


「アイツはそこまで言わなかったけどな」



宮地と話したのかよ。



意外だな、と思いながら「ただ」颯人の続けた言葉に耳を傾けた。



「…救ってやってくれって」


「…………」


「俺に頭下げに来た」



アイツが?


< 108 / 294 >

この作品をシェア

pagetop