乱華Ⅰ【完】
「…宮地」
「あ?」
颯人が灰皿にタバコを押し付けて立ち上がる。
携帯を俺に押し返した颯人は
「アイツが一枚噛んでる」
確信してんのか、真っ直ぐに俺を見据えた。
「…宮地ぃ?」
「あぁ」
素っ頓狂な声が出たのは颯人から出た名前が意外だったからだ。
担任の宮地。俺らの先代だろ、アイツ…
元族が教師なんて、世も末だろーに。
「じゃぁ、乱華の…?」
「アイツはそこまで言わなかったけどな」
宮地と話したのかよ。
意外だな、と思いながら「ただ」颯人の続けた言葉に耳を傾けた。
「…救ってやってくれって」
「…………」
「俺に頭下げに来た」
アイツが?