乱華Ⅰ【完】
「…何、ここ」
「倉庫」
私の真横に立った司は間髪入れずに答えた。
いや見ればわかりますけど。
そんな答えを求めてんじゃねぇよ。
私が聞きたいのは、何故ここに来たかって事であって、そんな事じゃない。
梶さんは車に待機して、修は1人で倉庫の中に入っていってしまった。
横に立つ司はただ前をジッと見るだけ。
私とさして身長の変わらない司は今日も私服全開だ。
唯一の制服だった部分、ズボンすら最早履いていなかった。
日が落ちる間際午後5時。
目の前の倉庫にはバイクが4台。
2階建てのそれはあの乱華の倉庫と似ていた。
ただ乱華の倉庫と違って
だだっ広い敷地内。
ぽつんと建つ倉庫の1階のシャッターは閉まっている。
「ねぇ」
「…なんだよ」
司は心底ウザったそうに私に視線を向けて睨んできた。
…アンタ私に対して態度酷いよね。
バカにしてんのか?