乱華Ⅰ【完】
外からは静かな夜とは裏腹に、パトカーのサイレンとバイクの轟音が鳴り響く。
たまに聞こえるのは嘲笑とうめき声…
「…」
馬鹿でもわかる。
今出て行くと確実にアブナイ、と。
私は眉をひそめてただただ、じっとその窓の外を見つめていた。
…あそこに飛び出せば何か変わるかな?
そんな淡い期待を持ちながら。
私の顔を見た男はシャッとカーテンを閉めて「朝になったら送ってく」言って、再びベッドに潜り込んだんだ。
何もしないの…?
その考えは頭の中だけで、言葉にはしなかった。