乱華Ⅰ【完】
「いらない」
「あ?」
「そんなの、いらない。見てくれだけなんて欲しくない」
顔色を伺って生活するなんて嫌。
私は私でしかない。
私を外見で判断するなんて、してほしくない。
丁寧な言葉遣い?
上品な格好?
そんなの、いらない。
誰の為にするっていうの。
私にはあそこを出た瞬間―…
いや、もっと前から―…
必要なんてないんだ。
ねぇ?そうでしょう?
「心」
「………何」
心なんて名前笑っちゃう。
心なんてない私が心なんて名前。
名前負け以外の何者でもないよ。
ねぇ。
そうやって笑ってきたんでしょう?
私の名前すら呼ばないのはそういう事、でしょう?
「こころ」
「…な、に」
「……泣きたいなら泣けよ」
あぁ。
何。
なんで。
私はこんなに―…
脆いの。