乱華Ⅰ【完】


何を持って大丈夫なのか。
言いたい事は、ある。



だけど―…



ポンポンと諭すように頭を撫でられたら、不思議と安心してくる。



颯人が大丈夫と言えば、大丈夫になる様な気がして―…



揺らがない



そんな態度の颯人に、安心した。



「あー…今日はすげぇっスね」



安心してゆったりとシートに凭れ掛ければ、頭をガシガシと掻きながら窓の外に顔を向けた梶さん。



ちょっ…!
アンタ、前見て運転しろっ!

事故るだろうがよっ!!



俄かには信じがたい行動をする、龍が立派なハゲを殴りたい。



「いやーすげぇわ。すげー」



一体何がそんなに凄いんだか…


未だに窓に目線を向けるバカに「前向け」言って窓の外に視線を馳せた。



「すご…」



確かに凄かった。


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