乱華Ⅰ【完】
「いきなりはやめろっつったろ」
「本ッ当すんません」
「お前まだ抜けてないのか?」
「………、」
「調教するぞ」
そのまま正宗にやられちまえ。
言葉遣いが変わった正宗と前でわけのわからない問答を繰り返す2人を見て、ふぅ気が抜けてシートに座り直す。
せっかく感動してたのに。
梶さんの行動のお陰で台無しだよ。
前の光の波は隊列を崩し、各々が蛇行したりして楽しそうにしている。
「ねぇ、颯人」
「なんだ」
「…ありがとう」
窓の外に顔を向けて呟く。
歓迎会って言った颯人にこの言葉を伝えたい。
そう思えた。
その形が例え警察に追われるものであっても、私は“歓迎会”をしてくれた颯人達に、この言葉を言うべきなんだ。
前で問答を繰り返すのが止まる。
視線を窓に向けたままでも、わかる。
今、みんなが見てると。
「…それだけ」
反応の仕方がわからない私はやっぱり、何てない様な顔で窓の外を眺めるしかない。
颯人はやっぱり、私の頭を撫でてくる。
その行動は彼のクセ…?
「…まだ終わってないよ」
「………え?」
正宗は窓を微かに開けて、ホラと目で訴えかけてくる。