乱華Ⅰ【完】
僅かに開いた窓。
そこに耳を傾ければ、聞こえる。
よく澄まさなければわからないけれど、音が。
冷たい風に乗って、私の好きではない、音が。
バイクの音に混ざって―…
聞こえる。
正宗は携帯を耳に当てどこかに連絡を取り始める。
「国道抜けたら散れ!あ、あ〜で、直帰でいいわ」
一体誰に連絡取ってんのよ。
言って直ぐに切った正宗は更に違う携帯を取り出した。
「散らして、乱鬼集合」
窓からは徐々にに大きくなる、音。
パトカーのサイレン。
…多分1台じゃない、と思う。
後ろは怖くて向けない。
前を走るバイクは徐々に脇道へと逸れていき、多分修とタク…それと蓮達と思う
5台が前を走る。
さっきまでの蛇行とは違い、すごい早さで加速していく。