乱華Ⅰ【完】


僅かに開いた窓。
そこに耳を傾ければ、聞こえる。



よく澄まさなければわからないけれど、音が。



冷たい風に乗って、私の好きではない、音が。



バイクの音に混ざって―…



聞こえる。





正宗は携帯を耳に当てどこかに連絡を取り始める。



「国道抜けたら散れ!あ、あ〜で、直帰でいいわ」



一体誰に連絡取ってんのよ。



言って直ぐに切った正宗は更に違う携帯を取り出した。



「散らして、乱鬼集合」



窓からは徐々にに大きくなる、音。






パトカーのサイレン。
…多分1台じゃない、と思う。



後ろは怖くて向けない。



前を走るバイクは徐々に脇道へと逸れていき、多分修とタク…それと蓮達と思う



5台が前を走る。



さっきまでの蛇行とは違い、すごい早さで加速していく。


< 144 / 294 >

この作品をシェア

pagetop