乱華Ⅰ【完】
「大丈夫?」
「……………、」
大丈夫なワケないだろ。
乱鬼の倉庫に戻って、車から降りた私はフラフラだった。
正宗は笑いながらどこから持って来たのか、私にミネラルウォーターを差し出す。
それを無言でふんだくり、口に運んだ。
「あー…」
気分、悪い。
額に手を当てフラリ、フラリと倉庫へと歩く。
梶さんの運転ってちょっと勘弁してもらいたい。
普段は安全運転なのに、さっきは軽く逝きかけたんですけど。
そんな私を殺そうとした梶さんは車の傍らに立ち、奏多さんと談笑中。
厳つい系が2人並ぶと圧巻だね。
あんなん昼間の街中で見た日にゃ、チビっちゃうよ。
倉庫には結構な人数が戻って来ていてみんな楽しそうに、やり切った顔をしている。
その中に颯人の姿は、ない。
颯人は入り口に佇み…多分まだ戻って来ていない人達の帰りを待ってる。
その横にタクと修もいて、倉庫に戻ろうとした足をそちらに向ける。
「…心ちゃん?」
「私もあそこ、行っていい?」
正宗に颯人達の立つ入り口を指し、伺う。
私も一緒にみんなの帰りを待ちたい。
帰って来たみんなに“おかえり”を言いたいと思った。
少し目を見開いた彼は「俺も行くよ」言ったから一緒に歩いてそこへと向かった。